おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

干からびた恋

日本に帰ってきました 突然のメールが届いた いろいろ風の噂に聞いています 久しぶりに会わない? バカの見本みたいな文章 これで会いたくなる女の顔が見たいわ。 悪いひとではなかった でも、もう会いたいとは思わない お互い歳も重ねたことだし 幻滅するだ…

くよくよする恋

久しぶりにあのひとに会った 仕事の話だけれど まっすぐ通った鼻筋と 綺麗な二重にわたしの目は釘付けだった いつまでも見ていたい うっとりしているうちに 再会は終わりを告げる 待って、まだここにいたいの わたしの心は叫んでいたけど それじゃあと言って…

恋ではないけれど寂しい

彼とはもう15年くらいの付き合いで よく2人で出かけたし 彼の車に乗せてもらった回数は彼女よりも多かったかもしれない 彼はとても頭の良いひとで いつも何を話しても的確な答えをくれた 年に数回しか会わなくなってもう10年遠くへ引っ越すという急に寂しく…

働かない男

年度末で忙しい日々 向かいの席の爺はいびきをかいて寝ていた 飲み会が続きお疲れのご様子 平和ですね、バブルに塗れた世代は。 後ろの席のオッサンは いつもTwitterで遊んでいる 月にどれだけデータを使っているか 知られていないとでも思うのか 隣の島の男…

枯れた恋

恋が終わって久しい 彼とはもうあまり話さないの でも、間が空きすぎると寂しいから ついついLineしてしまったりして あなたがくれた〇〇を使っていますとか 2人で行ったあのお店の前を歩きましたとか 何なの?気をひきたいの? 忘れていないってアピールし…

気持ち悪い恋

学生の頃住んでいた町 甘酸っぱくて、痛々しくて もう戻れない日々が スクリーンの向こうに広がっていた この通りをわたしは 泣きたい気持ちで何度も歩いた もう、昔のことだ 忘れていいんだよ 幸せになってよかったんだよ なぜあんなにも苦しかったのかな …

小説の恋

週末は東京へ行くよと オーストラリア人の彼はメールをくれた 学会でもあるのかと思ったら わたしに会いにくるという もう10年ぶりくらいで あの頃と変わらない調子で ぼくのホテルの部屋で ピザでも取ってビールを飲もうと言う わたしはあっさりと それはで…

たとえあなたが死んでも

たとえあなたが死んでも わたしはあなたのお葬式には行かない 彼女は連絡をくれるだろう 亡くなりましたと言うだろう わたしは行かない 絶対に行かない 泣けないし泣くとも思わない なんとも思わないだろう お世話になったのかもしれない でもね あなたに対…

ほんの小さなささくれ

どうでもいいことで 夫と少し険悪なムードになった 4年に1回くらい 夫とわたしはささやかなケンカをする 夫の言い方にカチンときたのだった 中身は思い出せないくらい たわいもないこと だけど、いつも夫はそういう言い方をする 普通に答えればいいのに なぜ…

似合わない服

何を思ったか 彼が洋服をプレゼントしてくれると言う ショッピングデートで素敵な街へ でもわたしね 欲しいものなんてないの 靴とかコートとか言ったものの 彼に散財させたくないし 気に入ったものも見つからない 時間ばかり過ぎて焦る ごめんなさい、女の買…

不器用で優しい恋

彼の不器用なやさしさに わたしはいつの間にか溺れている となりに座って 何も話さなくていいから ただ一緒にいたいだけ いつの間にか夕闇が迫る 帰りたくないのに このまま夜が来なければいいのに わたしが無理やり食べさせたアジアン料理を 美味しかったで…

もうあなたには興味がない

出会い頭にボディブロウを食らって 激しい目眩を覚えたのだった。 何?なぜ今そんなことを宣言するの? 彼はもう一度はっきりと言った もう、あなたには興味がないんです キョウミガナイ キョウミガナイ 仕方のないことだ 最初からわたしに興味なんてなかっ…

ストレスと恋

休みの日は何をするわけでもないのに あっという間に終わる。 主婦も案外忙しいものだ。 あれもしたい、これもしたい そう思いながら 夫の好物を作るために買い物に出たりする。 わたしは夫のことが大好きだ。 好きになりすぎるとしんどいから 他の人に恋を…

老いらくの恋

残業帰りの地下道で 手を握って立ち止まる高齢カップル 男の人の手には結婚指輪 ちょっと迷惑そうな高齢女性を 口説いている雰囲気 でもなんだか2人とも キラキラしているように見えた いくつになっても恋をしなさい 他人を傷つけないような 優しい恋をしな…

どこか遠くへ

どんなに望んでも 彼の心は離れていくのだった 少しずつ わたしの存在感が薄くなって 心のスペースを何で埋めればいいのか わたしには分からなくなりそうだ。 どこか遠くへ行きたい わたしを知る人がいない場所へ いつもそう願っていた けれど、地球の裏側で…

忘れたいこと

わたしは記憶力がいいほうである 割と細かいことをよく覚えているし 記憶を紐づけることも得意だ 勉強はできないのに 人に関係することは 忘れたくても忘れられないのだ 忘れたいことなんて 腐るほどあるよね もう忘れさせてよ 悲しかったことや悔しかったこ…

色彩のない恋

好きな人を前にしても イロコイという言葉がまるで当てはまらず 健全かつ鈍重なデートを重ねて 彼との恋はそのまま終わった 発展しなくてよかったんだ 無駄な努力も余計な色気もいらない お友達になりたかったの? いいえ、そうではない わたしだけを見て わ…

迷走する恋

仕事を辞めてしまいました もう先生にも あのひとにも会えない 黙っているのは流石に大人気ないから さようならと言った 彼はひどく驚いた顔をして そうですか、残念ですと 大人な挨拶を交わす わたしと一度だけ、一度だけでいいですから といえないままに …

フェイクな恋

いろいろ考えすぎる癖があって 何かが気になるとそこから抜け出せない そんな時わたしは ありもしないsexとか 妄想のキスで思考を散らすのだった 彼がわたしを抱くシチュエーションは どんなに妄想しても浮んでこない もう枯れたのかな してもしなくても わ…

熱くならない恋

ぬるま湯のような恋 いつまでたっても芯まで温まることはなく 何の効能もないのだけど 出るに出られないまま留まっている この恋は40℃未満 お湯はどんどん冷めていく もうすぐ風邪をひいてしまうね 時々カンフル剤を打って わたしはまた湯船に戻る 熱くなら…

偽物の恋

忘年会と称して食事に行った 彼は普段よりもよく喋り わたしはいつもより聞き役だった このところダメなことばっかりで 本当にダメなことばっかりで 自分のことを話す気力もない だから、彼が楽しそうに喋っているのが 今のわたしにはちょうどよかったのかも…

忘れられた恋

彼が誕生日を祝ってくれるという。 本当に欲しいものはなんだろう ただ一緒にいたいだけですと言ったら 彼は困るだろうな 甘い恋の予感を思い出していた すっかり遠ざかってしまった恋 私が見たかったのは 好きなひとの笑顔 だんだんと 恋を忘れた大人になる…

神経質な恋

わたしは自分がHPSだと思っている 他人の感情にふりまわされやすく すぐに感情移入するし 怒りをあらわにする人に対して過敏に反応する わたしの脳は 誰に対する怒りなのかを判別せずに ただ恐ろしいと感じとるのだった だから、恋人が不機嫌になると ひどく…

夢の中の恋

たわいもない夢だけど 珍しく彼がいた わたしたちは高いビルのレストランから きらきらと輝く地上の光を見ていた あのビルのところまで歩くんですと わたしは駅を指差した 彼は私の頬に手を当てて それからそっとわたしの唇にキスをした 思っていたよりずっ…

カフェの恋

待ち合わせをして いつかのカフェへ行った 覚えていないでしょう? あなたは簡単に迷う 始終噛み合わない会話だった けれど、一緒にいられて楽しかった それは他のどんな男友達とも違う 恋の予感を連れた楽しさだった パンケーキの上でクリームは溶けない エ…

味気ない恋

フェイドアウトしようとする相手を 引き留めるための小細工など 全くもってつまらないことだった。 逃げる魚を追いかけるなんて 努力するほどに魅力的な恋を わたしはしていないからだろう 約束もしがらみもない恋 思わせぶりな言葉と 年甲斐もなくうきうき…

10%の恋

家庭を持ちながら恋愛をするのに ちょうどいい割合は10%くらいなんだって 10%くらい、夫以外の男性のことを考えるのが 女を保つ秘訣なんだって。 10%よりも多いのか少ないのか わたしには分からないよ 手も握っていないのに あなたは幸せですか 10%の恋に振…

彼を怒らせた日

たぶん彼は怒っている たぶん彼は呆れている わたしの無神経な態度が たぶん彼を怒らせた だけど大人だから 彼は慎重でスマートな大人だから 何事もなかったかのようにスルーして わたしの存在を忘れることができる わたしは弱い 嫌われたかと 怒らせたかと …

陽気な恋

パソコンの画面に向かって 楽しそうに笑うわたしがいた そうか 彼と話す時のわたしは こんなに嬉しそうに笑っているのか 確かに恋するおばさんがそこにいた 無意識のうちにかわいく見せようと 髪をかきあげたりアヒル口になったり 見苦しくもがくおばさんが…

干からびた恋

庭のバラはもう終わり お天気の良い日曜に 花がらを掃除した カラカラに干からびた花びらの残骸 見られたくないのは わたしのプライドかな お茶を飲んでたわいもない話をする 3ヶ月に一度くらい 彼とわたしはデートした そんなささやかな恋は 密だのソーシャ…