おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

妄想日記

あのひとの研究室は

思っていたより広く

スッキリと片付いていた。


コーヒーでいいですか?


手際よくドリッパーにお湯を落とす

そんな仕草に見とれる

このひとはいつも

礼儀正しくスマートだ


わたし、来てしまいました。

どうしても会いたくなって

先生のことばかり考えてしまって

ごめんなさい。


あのひとはただにっこり笑う。

そんなふうに見つめられると困ってしまうな

ありがとう


その後は、最近出した著書をくださり

当たり障りのない話をした


何もかも上の空だった

取り返しのつかない言葉

もう何もなかったことにはできない

バカなわたし

早くここから消えてしまいたい


突然の沈黙が訪れて

あのひとはふいに言った


ほんとうは僕も

会いたかったんです


そして、わたしの肩に優しく触れた。


それでおしまい。

何もかもが。

終わらせたのは多分わたしだろう。


キスをするときに

先生はメガネを外すのか

今もわからないまま