そのひとは、わたしのことをとても心配して
毎日お便りをくれた
葉書にナンバーが振られていて
その数は100を越えた
でも、わたしは当時付き合っていた人と別れられず
そのひとの優しさに甘えていた
愛されていたかった
足りない何かを埋めるために
どうしようもなく足りなかった
何もかもが
29歳のわたしは
崖っぷちにいる気分だった
もう思い出さないでいよう
辛かった時のことなんか
もしやり直せるとしても
同じような人生を歩んでいるのだろうから
人に迷惑をかけないで
静かに生きていたい
高望みせず
ひとを羨まず
わがままを言わず
与えられた場所に満足して