彼は仕事に誠実で
困ったことがあるとすぐに助けてくれる
いつも礼儀正しく
スマートで物静かなひと
彼への信頼は揺るぎない
わたしも大事な顧客として扱われている
クライアントの窓口として
重宝されているんだよね
ひととして求められているわけではない
この仕事を辞めたら
わたしなんて用無しだ
誰がこんなおばさんを必要とするのだろう
自分のものではない力に
すがってはいけない
悲しいけれど、現実の姿は
ただの疲れたおばさん
彼が優しいのは
わたしにだけ特別なわけではない
分かってるのよ
よく分かっているのよ