おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

求められてはいない

彼は仕事に誠実で

困ったことがあるとすぐに助けてくれる

いつも礼儀正しく

スマートで物静かなひと

彼への信頼は揺るぎない


わたしも大事な顧客として扱われている

クライアントの窓口として

重宝されているんだよね


ひととして求められているわけではない

この仕事を辞めたら

わたしなんて用無しだ

誰がこんなおばさんを必要とするのだろう


自分のものではない力に

すがってはいけない

悲しいけれど、現実の姿は

ただの疲れたおばさん


彼が優しいのは

わたしにだけ特別なわけではない

分かってるのよ

よく分かっているのよ