おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

破滅的な恋

かつて自分が苦しめられたのと

同じ状況を作り出している

男は家に帰っていった

ほんの短い逢瀬が男との全てで

何もかもが嘘っぽかった


今度はわたしが加害者

わたしの方から誘惑して

彼の心をざわつかせている

いや、違うのか

あの頃もわたしが男をたぶらかして

陥したつもりが弄ばれていた


何もかもが嘘っぽかった

そのくせ、世界中を敵に回して

一人で戦っているつもりだった

何もかもが安っぽかった

燃やしてみたら灰すら残らないほどちゃちだった


結局わたしは

いてもいなくても同じ存在だったし

さほど必要とされてもいなかったんだ

もういいよね

もう、どうだっていいよね


彼が好きだ

破滅的でどうしようもない恋

好きでいるだけで

手を伸ばしてはいけない恋