おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

2020-01-01から1年間の記事一覧

偽物の恋

忘年会と称して食事に行った 彼は普段よりもよく喋り わたしはいつもより聞き役だった このところダメなことばっかりで 本当にダメなことばっかりで 自分のことを話す気力もない だから、彼が楽しそうに喋っているのが 今のわたしにはちょうどよかったのかも…

忘れられた恋

彼が誕生日を祝ってくれるという。 本当に欲しいものはなんだろう ただ一緒にいたいだけですと言ったら 彼は困るだろうな 甘い恋の予感を思い出していた すっかり遠ざかってしまった恋 私が見たかったのは 好きなひとの笑顔 だんだんと 恋を忘れた大人になる…

神経質な恋

わたしは自分がHPSだと思っている 他人の感情にふりまわされやすく すぐに感情移入するし 怒りをあらわにする人に対して過敏に反応する わたしの脳は 誰に対する怒りなのかを判別せずに ただ恐ろしいと感じとるのだった だから、恋人が不機嫌になると ひどく…

夢の中の恋

たわいもない夢だけど 珍しく彼がいた わたしたちは高いビルのレストランから きらきらと輝く地上の光を見ていた あのビルのところまで歩くんですと わたしは駅を指差した 彼は私の頬に手を当てて それからそっとわたしの唇にキスをした 思っていたよりずっ…

カフェの恋

待ち合わせをして いつかのカフェへ行った 覚えていないでしょう? あなたは簡単に迷う 始終噛み合わない会話だった けれど、一緒にいられて楽しかった それは他のどんな男友達とも違う 恋の予感を連れた楽しさだった パンケーキの上でクリームは溶けない エ…

味気ない恋

フェイドアウトしようとする相手を 引き留めるための小細工など 全くもってつまらないことだった。 逃げる魚を追いかけるなんて 努力するほどに魅力的な恋を わたしはしていないからだろう 約束もしがらみもない恋 思わせぶりな言葉と 年甲斐もなくうきうき…

10%の恋

家庭を持ちながら恋愛をするのに ちょうどいい割合は10%くらいなんだって 10%くらい、夫以外の男性のことを考えるのが 女を保つ秘訣なんだって。 10%よりも多いのか少ないのか わたしには分からないよ 手も握っていないのに あなたは幸せですか 10%の恋に振…

彼を怒らせた日

たぶん彼は怒っている たぶん彼は呆れている わたしの無神経な態度が たぶん彼を怒らせた だけど大人だから 彼は慎重でスマートな大人だから 何事もなかったかのようにスルーして わたしの存在を忘れることができる わたしは弱い 嫌われたかと 怒らせたかと …

陽気な恋

パソコンの画面に向かって 楽しそうに笑うわたしがいた そうか 彼と話す時のわたしは こんなに嬉しそうに笑っているのか 確かに恋するおばさんがそこにいた 無意識のうちにかわいく見せようと 髪をかきあげたりアヒル口になったり 見苦しくもがくおばさんが…

干からびた恋

庭のバラはもう終わり お天気の良い日曜に 花がらを掃除した カラカラに干からびた花びらの残骸 見られたくないのは わたしのプライドかな お茶を飲んでたわいもない話をする 3ヶ月に一度くらい 彼とわたしはデートした そんなささやかな恋は 密だのソーシャ…

自意識とコロナ鬱

何もする気が起きない 彼のことを考える時間も減った どうやら鬱に入っているみたい 健全に生きるための恋も 不機嫌なわたしの前に影を潜めた 何だろう、このつまらなさは 永遠に来ないバスを待つような あの頃のわたしもそうだった? 歪んだ空間の隙間に 嵌…

ミュージシャンの場合

プリン持ってきたよとわたしは笑う ハグの続きは甘い口づけ ミュージシャンはキスが上手だ その腕の中でとろけてしまいそう タバコを吸うようになったのは ポッカリと開いた心の穴をうめるため まだキラキラと星が瞬く明け方に あなたを置いて旅立った愛猫に…

大切なひと

年が明けて久しぶりに彼に会った 何も言わなくても 大切にされているんだと わかる気がする どこにいても 会えない日が続いても わたしには彼が必要だ そっと渡された御守りは 忘れていないですよという 彼からのメッセージ わたしも 忘れたことは1日たりと…

終わらない恋

昨日あたしね、 と言っただけなのに ああ、洗濯カゴの中に入れておいたよ と返事をする夫 靴下でしょ?洗濯機の横に落ちてたよ 普段そんなに会話するわけではないけど 夫はわたしのことをよくわかっている 夫婦の思考パターンは似てくるようだ 空気のように…

なつかしい歌

まだ10代の頃に 大好きだったグループの 懐かしい歌を聞いた 何も恐れることなく恋をして その理不尽さに歯がみしたり 怒ったり泣いたりした頃 懐かしい歌を聴いて ザワザワと騒ぐ恋の予感 今も変わらずに感じているじゃない もし1人なら 明日のことなんて考…

寒々しい恋

彼はどうやら わたしにあまり興味がないようだと 最近になって分かった そうだよね 勝手に盛り上がって 彼の楽しみを増やした気分になっていた 彼は淡々と日々を過ごしていて こんなおばさんに興味などない おばさんだからね わたし、もう完璧なおばさんだか…

忘れたような顔をして

仕事の都合で かつての恋人に会う あの時は最悪な別れでしたね 今でも、とても笑って話せたりはしない 時の流れってすごいな 殺したいほど憎んだことも 忘れたような顔をして わたしも適当に話を合わせて ニコニコ笑ったりするのでしょう もうどうでもいいの…

恋みくじ

家族で初詣に行った いつもの神社へ おみくじを引く 末吉、今年はダメみたい 誠実に生きよと書かれている 恋愛運は 不倫はするべからず 叶いても憂いあり そうだよね 分かっているんだ 一方的な恋でいい 誰も傷付かず 誰も苦しめない お正月休みは 気がつけ…