おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

流れゆく

庭で大きくなったディルが

黄色い花火のような花を咲かせている

オリーブもモッコウバラも夫が植えてくれた

絵に描いたような幸せを

わたしに与えてくれたひと


幸せすぎて怖い

何もかもが満たされすぎて

いつか失う日が来るのが怖い

だからわたしは

自ら壊すようなことばかりするんだろうか

盤石なものなんて

信じられるものなんて

この世には存在しないのよと

自分に言い聞かせたいのだろうか


いつかわたしは転ぶ

自分が蒔いた毒草の根に足を取られて

せめて夫に

わたしの黒い血がかかりませんように