おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

偽物の恋

忘年会と称して食事に行った

彼は普段よりもよく喋り

わたしはいつもより聞き役だった

このところダメなことばっかりで

本当にダメなことばっかりで

自分のことを話す気力もない

だから、彼が楽しそうに喋っているのが

今のわたしにはちょうどよかったのかもしれない

 

ダメな自分を否定しない人といるのは

ただの現実逃避ですか

何の解決にもならないけれど

目の前にいるひとがわたしを好きでいたらいいのに

彼には分からないだろう

そこに恋があると信じたいおばさんの気持ちなんて

 

ずっと電車に乗ったまま

どこにも到着しなければいいのにと思う

電車を降りてホームを歩くとき

いつも自分が偽物に思えて途方に暮れる

この恋もきっと本物じゃない

寂しいおばさんが生み出した偽物の恋