おばさんの恋

40代になっても恋に憧れるおばさんの妄想

空気と水のように

自然に関わっていながらもそこにあるのが当然そんな関係でいるのなら誰にも見えないけれどわたしたちは確かにつながっているデジタルではなく無数のシナプスで彼は正確にわたしの声を受け止める言葉がなくてもわたしたちはまた会えるだから、今は少しだけお…

なんでもないのに

疲れているんだななんでもないのに涙が出そうになるいつでも救ってあげますなんて彼に言わせてしまったけれどそうじゃないんだよホルモンバランスのせい悲しくなるのはきっとなんでもないことだよく寝て目覚めたら悩んでいたことさえ忘れてしまえる

あの頃よりも

過去のどんなときよりも今が幸せだと信じているもう1秒たりとも戻りたくないんだ今より先のことだけを見ていたい雨の日曜はいろんなことを思い出させるみじめなわたしのあの頃いつも見栄を張ってかわいそうな自分を隠していたわたしだけを見て欲しかったのは…

真夜中の恋

仕事が終わらなくてうがーっとメッセージを送る気晴らしメールに付き合ってくれる彼は本当に貴重な存在だ恋でなくていいから真夜中のメッセージを許して精神的依存誰かに心配されていたいだけだ夫の既読スルーにはもう慣れました心配されないことにも夫も同…

煩わしいだけの恋

一人で全てを抱えているのじゃないかとわたしはいつも心配になる彼は話をそらすもうすぐ夏休みでしょう?どこにも行かないんですか、と。どんなに心配したって何かしてあげられるわけもなく役に立てることもない余計なお世話なだけうるさいおばさん彼はハエ…

忘却

会議で忙殺されてやっと落ち着いた夕方雨は降らなかったバスに間に合うといいなくたびれ果てて家路につくもう何も思い出したくないそんな日に限ってふるい知り合いと出会ったり昔のことが頭の中をグルグル巡ったりする今朝、ゴミを出し忘れてしまった夫は怒…

モテたい病

おバカさんなわたしは多分モテたい病なんだと気付きました中学生の頃からずっとモテたいと思っていた気がするそれほど美人でもないし可愛くもなかったわたしは誰かに好かれることにずっと憧れていた気がつけば、いともたやすく人の心を手に入れていたそのバ…

赤い車

赤い車はわたしの人生に寄り添っていた辛いときも楽しいときも週末には夫が運転して家族でスーパーへ買い物に行く外食したり、ホームセンターへ行ったり時には夫の実家を訪ねたり子どものランドセルを買いに行ったときも家族の幸せに寄り添ってくれた赤い車…

心配

仕方ないことなんですよ、と彼は言った順番ですから、仕方ないんですすべてを受け入れて感情に流されず生きる一人で背負うには重すぎるだろうに何の力にもなれないけれどおせっかいなおばさんは彼を心配しているなんだか心がざわつく日彼と彼のご家族が無事…

無関心

夫はわたしのメールやメッセージにほぼ返信しない開封すらしてもらえないこともあるメールだけじゃない話しかけても面倒くさそうな返事聞き返すと怒られるいつからかしらきっともう興味がないんだな大好きだったこの人とずっと幸せに暮らせると思ってたわた…

依存

彼がいなければ何もできない都合よく呼び出しておんぶに抱っこ彼は快く引き受けてくれるわたしのSOSをスルーしたりしない優しいからですか痛々しいからですかおばさんは大切にされて嬉しいんだ特別扱いされることなんてないから喜んでしまうんだなんて安っぽ…

モルヒネ

お茶くらいなら付き合えますよと彼が言ったコーヒーを飲んでしばらく喋ったここしばらくの仕事の話とかこれから目指す方向とか彼は静かに笑う話を聞くのが上手ですねそして気遣いが半端ないとわたしのことを持ち上げる彼のことを何も知らないのに一緒にいる…

更年期

きっとわたしは更年期だわけもなく悲しくなったり突然むなしさに襲われたり昔のことを思い出して凹んだりする昔からそうだった大人になって、自分を守るために繊細なわたしはどこかへ押し込められて厚顔無恥なおばさんになったその方がいい歳を重ねたんだも…

花柄のワンピース

夫は花柄のワンピースが嫌いフェミニンなスタイルが嫌い花柄でも、細かい花が散っているやつとか小さな水玉模様も嫌い丈が短めのフワッとしたワンピースも嫌い女性らしさを強調するような甘めのファッションとは縁遠いわたしだからわたしと結婚したのかなそ…

腐女子の終着駅

わたしの鞄は重いなぜこんなに物が入っているのと同僚は笑うのだけれどなぜか減らせない当然、鞄の中はぐちゃぐちゃだおそらくわたしはこんな鞄みたいな人生を送っている不要なものをたくさん抱えて整理もできないままにそして不機嫌な顔で電車に乗り書類が…

流れゆく

庭で大きくなったディルが黄色い花火のような花を咲かせているオリーブもモッコウバラも夫が植えてくれた絵に描いたような幸せをわたしに与えてくれたひと幸せすぎて怖い何もかもが満たされすぎていつか失う日が来るのが怖いだからわたしは自ら壊すようなこ…

5月の憂鬱

ゴールデンウィークも過ぎて夏がそこまで来ているのに気分はいつまでも低空飛行恋なんかいらないキレイになろうなんて思わないおばさんらしく控えめなメイクで安い服を着て後ろの方に並ぶわたし、それでいいのもうステージに上がったりしないし歌ったり踊っ…

かまってほしいおばさん

なんと面倒くさいことかかまって欲しいおばさんメールに返信するとかおはようございますと挨拶を返すとか細かいことを気にする割には表面的なことで満たされるくせにただ、応えて欲しかっただけわたしの声にわたしの言葉にちゃんと聞いているよと反応を感じ…

戻れる戻れない

もしどうしても辛いのならメンタルを病んでしまうくらいなら仕事を辞めたっていいし逃げ出してもいいあなたには大切な家族があるし自分を大切にしなければ彼らを傷つけることになるだから今を、自分を大切に丁寧に生きていかなければ恋とかときめきとか何を…

不健全な恋

仕事ではなく完全なるプライベートで彼に会うことなんてない今までも、これからも彼だって望んでいないんだ不健全な関係口さがない人たちからあれこれ噂のタネにされても構わないけれど事実としてなにもないから残念でした何を見ても何を食べても彼と一緒な…

遠ざかる恋

メールのやり取りがここしばらく希薄になった彼はセーブしているのだろうおばさんが調子に乗っているから普通にすればいいのに勝手に盛り上がっているからクールダウンこの恋の先には何もない彼のさいわいを願うなら遠ざかる恋を追いかけたりしないで彼はつ…

無駄な怒りと我慢

くだらないことだどうせ大したことではないいちいち気にしないで愉快に過ごしましょうよ考えないでいればいい考えすぎる自分を受け入れるなんてどうせあなたにはできないでしょもうひとりのわたしが笑う無駄な怒りも我慢も不要だ恵まれすぎているのよだから…

男というものは

なぜいつもそんな風に上から目線なのだろうわたしの言葉など意に介さず間違っているのはお前だと言わんばかりによくあることだそんなの、普通にあることだいちいち気にしていたら心がもたない彼なら、そんな言い方しないのにふと考えて、いやいやと打ち消す…

ただの夢に過ぎない

雨が降って遅刻しそうになった朝夫が駅まで送ってくれた小さな幸せ夫に嘘をついてほかの男に会いに行く夢を見た相手が誰だったのかさえ思い出せないけど夢の中のわたしはとてもヘタな嘘をつき軽はずみな行動を悔いていた夢でよかった夫はブツブツ文句を言い…

破滅的な恋

かつて自分が苦しめられたのと同じ状況を作り出している男は家に帰っていったほんの短い逢瀬が男との全てで何もかもが嘘っぽかった今度はわたしが加害者わたしの方から誘惑して彼の心をざわつかせているいや、違うのかあの頃もわたしが男をたぶらかして陥し…

面倒くさい恋

ビジネス上の付き合いしかないのに彼女ヅラしてメール送ってくる女わたしのことだなと凹む妙に馴れ馴れしくて調子に乗ってるんだ立場もわきまえないで嫌われるのは時間の問題追いかけないで綺麗な思い出で終わらせましょう彼はもう面倒くさいおばさんに疲れ…

桜が散ったら

もうこの恋はおしまい交わるほどに接近したラインは再びそれぞれの軌道に戻る別の形で繋がって次のステージで会いましょうはるか昔から何度も出会っているのだろうからそう考えると恋が終わっても寂しくないですね

心配される幸せ

咳が止まらない日が続き彼はひどく心配してくれた誰かが気にかけてくれることなんてもうあまりなくなった今日この頃ちゃんと休んでくださいと彼は言い続けているその言葉にわたしは満足するのだったいつ死んでもいいのと言ったら彼は怒るだろうか彼が、わた…

春の香り

春の訪れは沈丁花の香りと共にやってくる曇った空を見上げながら彼のさいわいを願う生きるとか死ぬとかそんな差し迫ったことではなくて無機質に繰り返される日々のルーティーンに恋が挟み込まれやがて色褪せていくあの長い歩道橋から月を眺めつづけてもなに…

デジタルな恋

一昔前とは違って今は何から何までデジタル写真も交わした言葉すらも削除してしまえば残らない彼の作り上げたシステムも血の通わないデジタルの産物引き際が肝心ですと彼は言ったわたしに言っているのだろうひとの心も0か1かで割り切れたらいいのにデジタル…